「かゆい、かゆい」で救急搬送!? ナッツアレルギーから子どもを守るために知っておきたいこと

耳かき一杯のナッツで、3歳のお子さんが救急搬送される事態に。

実は、ナッツアレルギーは卵や牛乳と違って「治りにくく、重症化しやすい」という特徴があります。

外食時や加工食品に潜むリスクと、家族でできる対策を分かりやすく解説します。

目次

今日の「人に話したくなるポイント」

  • ナッツアレルギーは「耳かき一杯」の少量でも命に関わる症状が出ることがある
  • 卵や牛乳のアレルギーと違い、年齢を重ねても治りにくい
  • 外食時の「調理器具の共有」や「原材料表示の盲点」に注意が必要
  • アレルギー表示義務があるのは特定の食品だけで、飲食店には義務がない場合も
  • エピペン(緊急注射薬)の使い方を家族全員が知っておくことが大切

なぜナッツアレルギーは怖いのか?

「耳かき一杯」でも命に関わる理由

想像してみてください。

お子さんが友達からもらったクッキーを一口食べた直後、突然「かゆい、かゆい」と言い出し、顔が腫れ始める——。これが、ナッツアレルギーの怖さです。

ナッツアレルギーの最大の特徴は「微量でも激しい反応が出やすい」こと。たとえば卵アレルギーなら、加熱した卵なら食べられるお子さんもいます。でも、ナッツアレルギーは違います。

渡辺ひかり

ピーナッツバターを塗ったナイフで、別のパンを切っただけでも、反応が出てしまうことがあるんです。

まるで、目に見えない粉のようにナッツの成分が広がってしまうイメージです。

「治りにくい」アレルギー

渡辺ひかり

もう一つ知っておきたいのが、ナッツアレルギーは治りにくいという点です。

卵や牛乳のアレルギーは、小学校に上がる頃には約半数のお子さんが食べられるようになります。成長とともに体が強くなって、「卒業」できるんですね。

でも、ナッツアレルギーは違います。大人になっても持ち続ける方が多く、一生付き合っていく必要があることも。つまり、一度発症したら、ずっと気をつけ続けなければならないアレルギーなのです。

外食に潜む「見えないリスク」

レストランで気をつけたい3つのポイント

外食は家族の楽しい時間ですが、ナッツアレルギーがあるお子さんにとっては危険がいっぱい。特に注意したいのが次の3点です。

1. 調理器具の共有問題
レストランの厨房では、同じフライパンやまな板でいろいろな料理を作ります。
たとえナッツを使っていない料理を注文しても、ナッツ料理を作った後の器具を使えば、微量のナッツ成分が混入してしまいます。
これは、家で料理をするときに「魚を焼いたフライパンで卵焼きを作ると魚の匂いが移る」のと同じ原理です。

2. 原材料表示の盲点
スーパーで売られている加工食品には、アレルギー表示が義務付けられています。
でも、飲食店で提供される料理には表示義務がないことも多いんです。
さらに、「ナッツ類」とひとくくりにされていても、具体的に何のナッツか分からない場合もあります。アーモンドはダメだけどカシューナッツは大丈夫、というお子さんもいるので、これは困りますよね。

3. 店員さんの知識不足
個人経営の小さなお店では、アレルギーについての知識が十分でないこともあります。
「ナッツは入っていません」と言われて安心したのに、実はナッツオイルが使われていたなんてケースも。

家庭でできる5つの対策

1. 「成分表示」を読む習慣をつける

買い物のとき、必ずパッケージの裏を見る習慣をつけましょう。

チェックポイントは2か所:

  • 「アレルギー表示欄」:ナッツ類の記載があるか
  • 「製造ラインの注意書き」:「本製品製造工場では、ナッツを含む製品を製造しています」という表示

この製造ラインの注意書きは、義務ではなく企業の任意表示です。でも、これがある商品は避けた方が安全です。

2. 外食時は「事前確認」を徹底

レストランに行く前に、電話で次のことを確認しましょう。

  • ナッツを使った料理があるか
  • アレルギー対応は可能か
  • 調理器具は分けてもらえるか

お店に着いてから確認すると、「対応できません」と言われて困ることも。事前確認なら、別のお店を探す時間もあります。

3. お子さん自身に「伝える力」を育てる

幼稚園や保育園、小学校では、先生がいつも見ていてくれるとは限りません。

お子さん自身が「ぼく(わたし)はナッツを食べると病気になるから、食べられないの」と言えるように、繰り返し教えてあげましょう。

お友達からお菓子をもらったときも、「ママに聞いてから食べるね」と言える習慣をつけることが大切です。

4. エピペンの準備と家族での練習

重度のナッツアレルギーと診断されたら、医師からエピペンという緊急注射薬を処方してもらえます。

これは、アナフィラキシーショック(呼吸困難などの重い症状)が出たときに太ももに注射する薬。

渡辺ひかり

でも、いざというとき慌てないよう、家族全員が使い方を練習しておくことが重要です。

特におじいちゃん、おばあちゃんにお子さんを預けるときは、必ず使い方を説明しておきましょう。

5. 「アレルギーカード」を持ち歩く

お子さんの名前、アレルギーの種類、緊急連絡先を書いた小さなカードを作って、通園バッグなどに入れておきましょう。

万が一、お子さんが一人でいるときに症状が出ても、周りの大人が対応しやすくなります。

社会全体で子どもを守るために

飲食店の方々へのお願い

個人経営の飲食店にとって、アレルギー表示の義務化は確かに負担が大きいかもしれません。高齢のご夫婦でやっている定食屋さんなどでは、メニュー一つひとつの原材料を調べて表示するのは大変な作業です。

でも、できることから始めることはできます。たとえば:

  • 「アレルギーがある方は注文時にお申し出ください」と店内に掲示する
  • よく使う食材のリストを作っておく
  • お客さんから聞かれたら、正直に「分かりません」と答え、食べないよう勧める

完璧でなくても、「アレルギーを気にかけている」という姿勢が伝わるだけで、保護者は安心できます。

なぜこんなにアレルギーが増えたのか

「昔はこんなにアレルギーの子なんていなかった」という声をよく聞きます。確かに、アレルギーを持つお子さんは年々増えています。

理由については、いろいろな説があります。

  • 清潔すぎる環境:体が本来戦うべき細菌と接する機会が減り、免疫システムが過剰反応するようになった
  • 食生活の変化:加工食品や食品添加物が増えた
  • 診断技術の向上:昔は分からなかったアレルギーが、今は検査で分かるようになった

どれが正解かは、まだはっきり分かっていません。でも、「時代が変わってきている」のは確かです。

大切なのは、「昔と今は違う」ことを認め、今の子どもたちに必要な対策を考えることです。

みんなが幸せになる「規定ライン」を探して

アレルギー対策を厳しくすれば、アレルギーを持つお子さんは安心できます。でも、それが小さな飲食店の負担になりすぎては、店舗が閉まってしまうかもしれません。

渡辺ひかり

「みんなが幸せになる規定ライン」をどこに置くか——これは社会全体で考えていく課題です。

でも、一つ言えるのは、お互いの立場を理解し合うことが出発点だということ。

飲食店を営む方々には、アレルギーの怖さを知ってほしい。そして、アレルギーを持つお子さんの保護者も、小さなお店の事情を理解する。その上で、できる範囲で協力し合う——そんな社会を作っていけたらいいですね。

今日のポイント整理

  • ナッツアレルギーは微量でも重症化しやすく、治りにくい特徴がある
  • 外食時は調理器具の共有や原材料表示の盲点に注意が必要
  • 買い物では成分表示と製造ラインの注意書きを必ず確認する
  • お子さん自身が「食べられない」と伝えられるよう教育する
  • エピペンの使い方を家族全員が知っておくことが命を守る
  • 飲食店と保護者がお互いの立場を理解し合うことが大切

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