2024年、日本を訪れる外国人旅行者が史上初めて年間4000万人を突破する勢いです。
9月だけで320万人を超え、過去最速で3000万人に到達しました。「外国人観光客が増えると混雑するだけでは?」と思われるかもしれませんが、実は子育て世帯の生活にも様々なプラス面があるんです。
今日は、このインバウンド増加が私たちの暮らしにどんな変化をもたらしているのか、わかりやすく解説します。
今日の「人に話したくなるポイント」
- 地元のお店や施設が潤うことで、子育て環境が充実する可能性
- 円安でも家計を守れる?外国人が落とすお金の恩恵
- 子どもの国際感覚が自然に育つチャンス
- 地方の活性化で帰省先や旅行先の選択肢が増える
- 観光地以外の身近な街にも経済効果が広がっている
インバウンド4000万人って、どれくらいすごいの?
まず「インバウンド」という言葉、聞いたことありますか?
これは「外国から日本に来る旅行者」のことです。
2024年9月までに日本を訪れた外国人は、すでに約3000万人。
このペースでいくと、年間で4000万人を超えそうなんです。
ちょっと想像してみてください。
日本の人口は約1億2000万人。つまり、日本人の3人に1人分の外国人が、1年間で日本を訪れているということ。学校のクラスが30人だとしたら、10人の外国人が日本旅行に来ている計算です。
なぜこんなに増えたのでしょう?理由はいくつかあります。
円安の影響
2024年現在、円の価値が下がっているため、外国の人にとって日本旅行が「お得」になっています。
例えば、アメリカの人が100ドル持っていると、以前より多くの日本円に両替できるので、同じ金額でもっとたくさん買い物ができる、という仕組みです。
地方路線の充実
北京と神戸を直接つなぐ飛行機など、地方都市への直行便が増えました。
これまで東京や大阪だけだった観光客が、いろんな地域に分散するようになったんです。
多様な魅力の発見
アニメの舞台になった場所、歴史的な人物ゆかりの地、美しい自然など、日本の様々な魅力が世界に知られるようになりました。
外国人観光客が増えると、子育て家庭にどんなメリットがあるの?
「でも、観光客が増えたら混雑するだけじゃない?」と思いますよね。確かにそういう面もありますが、実は子育て世帯にとって嬉しい変化もたくさんあるんです。
1. 地元のお店や施設が元気になる
渡辺ひかり外国人観光客がお金を使ってくれることで、地域のお店が潤います。
これは「お小遣いが増えた友達が、みんなにおごってくれる」ようなイメージです。
例えば、あなたの住む街の商店街やカフェに外国人が訪れるようになると、そのお店の売上が増えます。すると、お店は新しい商品を仕入れたり、設備を新しくしたり、従業員を増やしたりできるようになります。
2. 地方が活性化して、選択肢が広がる



インバウンドは東京や大阪だけでなく、地方にも広がっています。
埼玉県坂戸市に台湾の人が訪れたり、岐阜県に外交官杉原千畝ゆかりの地を訪ねる旅行者が来たり。
地方都市が元気になると、そこに新しいお店や施設ができます。すると、私たちが家族旅行や帰省で訪れる際の楽しみが増えるんです。「おばあちゃんの家に帰省したら、駅前に素敵なカフェができてた!」なんてこともありますよね。
また、観光地として注目されることで、公共交通機関が充実したり、道路や公園などのインフラが整備されたりすることもあります。
3. 円安でも家計にプラス面が



「円安で輸入品が高くなって困る」という声をよく聞きますが、インバウンドは円安のマイナス面を補う効果があります。
外国人が日本で1万円使うと、その1万円は日本国内で回ります。ホテルの売上になり、レストランの収入になり、お土産屋さんの利益になる。そこで働く人たちの給料になり、その人たちがまたお金を使う。これを「経済の好循環」といいます。
家計簿に例えるなら、「支出は増えたけど、収入も増えた」という状態です。
4. 子どもの国際感覚が自然に育つ



街中で外国の人を見かける機会が増えると、子どもたちにとって「世界にはいろんな人がいる」ことが当たり前になります。
公園で遊んでいる時に外国語が聞こえてきたり、スーパーで買い物をしている外国の家族を見かけたり。こうした日常の中で、自然と「英語を話してみたい」「あの国のことを知りたい」という興味が芽生えることも。
5. 身近な場所が観光地になる可能性
アニメの「聖地巡礼」で注目された商店街、SNSで話題になった公園、美味しいと評判のパン屋さん。



外国人観光客は、ガイドブックに載っていないような場所も訪れます。
すると、あなたがいつも子どもと遊んでいる公園が整備されたり、よく行くパン屋さんが改装して広くなったり、思わぬ変化が起こることも。
課題もある。どう向き合えばいい?
もちろん、良いことばかりではありません。
混雑の問題
人気の観光地では、あまりにも観光客が増えすぎて、地元の人が困ることもあります。
これを「オーバーツーリズム」といいます。
バスが満員で乗れない、いつものスーパーが混んでいる、静かだった街が騒がしくなった、といった声も聞かれます。
マナーの違い
文化や習慣の違いから、ゴミのポイ捨てや騒音など、マナーに関する問題が起こることもあります。
これからどうする? これらの課題に対して、専門家からは次のような意見が出ています。
- 「数」より「質」を重視する:
たくさんの人を呼ぶより、日本の文化を理解し、マナーを守ってくれる旅行者を増やす - 適切な料金を設定する:
観光地や宿泊施設で税金を課し、その収入で環境整備や対策に使う - ルールを明確にする:
マナー違反には罰金を設けるなど、海外の観光地で行われているような対策を導入する
例えば、フランスには年間1億人以上の外国人が訪れます(人口の約1.5倍!)。日本の人口に当てはめると、年間1億8000万人が来ている計算です。フランスは長年、こうした課題と向き合いながら、観光と生活のバランスを保つ工夫をしてきました。
日本も、ただ数を増やすのではなく、住む人も訪れる人も気持ちよく過ごせる「適正なバランス」を見つけていく必要があります。
私たちにできることは?
子育て中の私たちにできることもあります。
子どもと一緒に「おもてなし」の心を育てる
道に迷っている外国の人に声をかけてみる、電車で席を譲る、笑顔で挨拶する。
こうした小さな優しさが、相手の心に残ります。
そして何より、それを見ている子どもが「困っている人を助ける」ことを学びます。
地域の良さを再発見する
「なぜ外国の人がこの街に来るんだろう?」と考えることで、自分たちの住む場所の魅力に気づくことがあります。
子どもと一緒に地域を探検するのも楽しいですね。
変化を前向きに捉える
新しいお店ができたり、街の雰囲気が変わったりすることを、楽しむ心の余裕を持ちましょう。
子どもは親の姿勢を見ています。
変化を恐れず、柔軟に適応する姿は、子どもにとって大切な学びになります。
今日のポイント整理
- 2024年、訪日外国人は年間4000万人を超える勢いで、これは日本人口の約3分の1に相当します
- 外国人観光客が増えることで、地域のお店や施設が潤い、子育て環境が充実する可能性があります
- 地方都市への観光客分散により、家族旅行や帰省の選択肢が広がっています
- 円安でも、インバウンド消費が経済を活性化させ、間接的に家計にプラスの影響を与える可能性があります
- 日常的に外国の人と接することで、子どもの国際感覚が自然に育ちます
- オーバーツーリズムやマナー問題などの課題もあり、「数より質」を重視した対策が求められています
- 住む人と訪れる人、双方にとって快適な環境を作ることが、これからの目標です
