子育ての道のりで、私たちは様々な選択に迷い、数多くの判断を求められます。そんなとき、確かな理念があれば、それは私たちの道しるべとなってくれます。
「男の子の樹」では、長年の子育て支援の経験から得た3つの理念を大切にしています。これらの理念は、4つの成長ステージすべての土台となるものです。
1. 「甘えと自立の繰り返し」
成長とは、潮の満ち引きのように
子育ての過程は、決して一直線ではありません。甘えと自立が、まるで波のように行き来します。それは自然な成長のリズムなのです。
甘えることで育つ自立心
子どもは、十分に甘えることができたときこそ、確かな自立への一歩を踏み出せます。だからこそ、子どもが甘えてきたときは、しっかりと受け止めてあげることが大切です。「甘やかし」ではなく、これは子どもの心の成長に不可欠な「心の栄養」なのです。
それは、こんな形で子どもの成長を支えます。
- 思う存分甘えられる安心感があるからこそ、新しいことにチャレンジできる
- 困ったときに必ず受け止めてもらえるという信頼があるからこそ、自分でやってみようとする勇気が生まれる
- いつでも「戻れる場所」があるという確信があるからこそ、前に進める力が育つ
例えば、こんな経験はありませんか?
- 一人で寝られるようになったのに、また一緒に寝たがる
- 自分でできていた着替えを、急に手伝ってほしがる
- 友達と上手く遊べていたのに、また甘えん坊に戻ったように見える

これらは、決して成長の後退ではありません。新しい成長のステージに進むために必要な「充電期間」なのです。そして、この時期にたっぷりと甘えさせてあげることで、子どもは次の成長に向かう力を蓄えていきます。
子育ての労力は、かけがえのない幸せの時間
「宿題、見てほしい」
「もう少し話を聞いて」
「文房具を買ってきて」
そんな子どもからの際限のない要求に、時に疲れを感じることもあるでしょう。確かに子育ては多くの労力と体力を必要とします。



でも、この時期は実は私たち親にとってもかけがえのない宝物なのです。
私自身、シングルファーザーとして息子を育てる中で、この真実に気づきました。子どもが求めることは全て喜んで応えよう—その思いで子育てに向き合ったとき、驚くべき発見がありました。
それは、子どもに必要とされるこの時間こそが、人生で最も充実し、幸せを感じられる時間だということです。
「パパ、これやって」「一緒にいて」
そんな息子の要求に応えるたび、私はいつも口にしていました。
「うん、いいよ。パパは好きでやってるんだよ。楽しいんだよ」
その言葉は決して建前ではありません。子どもの願いに応えられる今この時間が、かけがえのない幸せだという実感があったからです。
子育ての期間は、あっという間に過ぎていきます。振り返ってみれば、子どもに尽くしたすべての時間、すべての労力が、私たち親にとってもかけがえのない財産となっているのです。
息子が卒業式の日に書いてくれた手紙の出だしは、こんな言葉でした。
「父さんは料理や洗濯などを自分が好きでやっているので言わなくていいかもしれないけど、僕の世話をしてくれてありがとう」
この言葉に込められているのは、親の愛情をしっかりと受け止めた子どもの確かな成長です。そして、それは私たち親の幸せそのものでもあるのです。
2. 「その子らしさを守ること」
個性とは、発見するものであって作るものではない
現代社会では、「個性を伸ばす」「個性を磨く」「新しい個性を育てる」という言葉をよく耳にします。しかし、これは大きな誤解かもしれません。
個性とは、生まれ持った性格そのものです。
それは作り上げるものでも、新しく育てるものでもありません。既にその子の中にある、かけがえのない宝物なのです。
親の役割は「作ること」ではなく「気づくこと」
私たち親にできることは、その子の中に既にある個性に気づき、理解し、そのままを受け入れること。それは具体的には、
- 好きなことと苦手なことをじっくりと観察する
- やりたがることとやりたがらないことを見極める
- 興味を示す場面と示さない場面の違いに気づく
- 伸び伸びと過ごせる環境と緊張する環境の区別を理解する
「させる」のではなく「したいことをさせてあげる」



ここで重要なのは、親の願いや社会の期待で子どもを方向づけないことです。例えば、
✕ 「運動が苦手だけど、頑張って運動系の習い事をさせよう」
○ 「運動は苦手だけど、本を読むのが好きなら、その興味を深められる環境を作ってあげよう」
✕ 「おとなしすぎるから、もっと活発になるよう働きかけよう」
○ 「おとなしい性格を受け入れながら、その子なりのコミュニケーション方法を見守ろう」
個性を守るとは、その子の「いや」を守ること



子どもが本当に「いや」と感じることを強要しないこと。これは個性を守る上で最も重要な点です。なぜなら、
- 「いや」という感覚は、その子の個性が発する重要なシグナル
- 嫌いなことを強要されることで、自己否定の感覚が生まれる
- 「いや」を無視されることで、自分の感覚を信じられなくなる
その子らしさの発見と受容
実践的なアプローチとして、
1.丁寧な観察
- 日々の生活での好みや反応を細かく見る
- 表情や態度の変化に注目する
- エネルギーが湧く場面と消耗する場面を見極める
2.深い理解
- なぜその行動を取るのかを考える
- その子なりの理由や感じ方を受け止める
- 表面的な行動だけでなく、内面的な動機を理解する
3.全面的な受容
- 「こうあるべき」という固定観念を手放す
- その子の「今」をありのままに認める
- 長所も短所も含めて、全体として受け入れる
個性を守ることが、才能を育てる



子どもの個性を守り、その子らしさを尊重することは、実は最も効果的な才能育成の方法でもあります。なぜなら、
- 好きなことには自然と深い関心と集中力が生まれる
- 得意なことを伸ばす方が、効果的に成長できる
- 自己肯定感が育つことで、新しいチャレンジもできるようになる
私たち親に求められているのは、子どもの個性を「作り変えること」ではなく、「守り、育てること」なのです。
その子らしさを深く理解し、それを守り通す。それこそが、本当の意味での個性の育成なのです。
3. 「知識があれば、道は必ずある」
知識は、人生の地図となる
私たちの目の前には、常に様々な選択肢があります。しかし、知識がなければ、それらの選択肢を正しく見極めることができません。それは、まるで地図を持たずに見知らぬ土地を歩くようなものです。
知識があることで、
- 正しい方向を見極められる
- 危険な道を避けられる
- より良い選択ができる
- 自分で判断ができる
知識は、子どもを守る盾となる
例えば、こんな場面を想像してみてください。
水の入ったグラスを手に持っていたとします。そのグラスから手を離すとどうなるでしょう。必ず下に落ちます。なぜでしょうか?
それは地球上には重力という力が常に働いているからです。これは科学的な事実であり、誰もが経験する自然の法則です。
しかし、もしこの基本的な知識がなければ、
- 「努力が足りないから落ちるんだよ」
- 「特別な方法があれば落ちないよ」
- 「君には才能がないから落ちるんだよ」
という誤った説明をする人がいて、それを真実として受け入れてしまうかもしれません。
知識は、正しい判断の基準となる
私たちが「これが正しい」と判断できるのは、
- 様々な可能性を知っているから
- 基準となる事実を知っているから
- 比較できる選択肢を知っているから
例えば、地図の中の「真ん中」を見つけるためには、
☑️ 左端を知っていること
☑️ 右端を知っていること



この両方が必要です。片方しか知らなければ、真ん中がどこにあるのか分からないのです。
知識がもたらす3つの力
① 選択する力
- 複数の可能性を見極められる
- それぞれの選択肢の意味が分かる
- 自分に合った道を選べる
② 判断する力
- 正しい情報と誤った情報を区別できる
- 本質的なものと表面的なものを見分けられる
- 長期的な視点で考えられる
③ 守る力
- 不適切な誘導から身を守れる
- 誤った情報に惑わされない
- 自分で考え、決められる
知識は、人生の可能性を広げる
知識を持つことは、
- より多くの選択肢が見える
- より確かな判断ができる
- より豊かな人生を送れる
ということを意味します。
知識を増やすことの大切さ
私たちが目指すべきは、
- 常に新しい知識を求め続けること
- 様々な視点から物事を見られるようになること
- 正しい判断の基準を持つこと



それは、お子さんの、
① より充実した日々
② より確かな成長
③ より幸せな人生
につながっていくのです。
知識は、決して重荷ではありません。それは、お子さんの人生をより豊かに、より安全に、そしてより幸せにする大切な贈り物なのです。
これらの理念が導く4つのステージ
これら3つの理念は、私たちが提案する4つの成長ステージの確かな土台となります。各ステージは、これらの理念を実践的な形で具現化していきます。
1st : 心の種まき期
甘えと自立のリズムを大切にするこの時期は、お子さんの心の根っこを育てる大切な時期です。十分な甘えを受け止めることで、後の確かな自立につながる自己肯定感の種を植えていきます。
2nd : 環境づくり期
その子らしさを守り、育む環境を整えるこの時期。特に、母親であるあなた自身の幸せが、子どもの成長を支える最も重要な環境要因となります。
3rd : 知恵の根づき期
知識という養分を吸収していくこの時期は、その子の将来の可能性を大きく広げていきます。ここでの学びが、後の人生の選択肢を豊かにしていきます。
4th : 行動の開花期
知識を実践の力へと変えていくこの時期。学んだことを実際の行動に移し、その子らしい才能を開花させていきます。
理念を日々の実践へ
これらの理念とステージは、日々の具体的な場面で活かされてこそ意味を持ちます。このサイトでは、
- 各ステージに応じた具体的な実践方法
- 年齢やお子さんの特性に合わせたアプローチ
- 実例に基づく具体的なアドバイスをお届けしていきます。
あなたらしい子育ての道へ



子育ての道のりは、決して平坦ではありません。でも、これらの理念という道しるべがあれば、
- 迷ったときの判断基準に
- 不安なときの支えに
- 新しい一歩を踏み出す勇気になるはずです。
あなたとお子さんの歩む道は、決して他の誰かと同じである必要はありません。
その子らしく、あなたらしく、あなたの家族らしく。
私たち「男の子の樹」は、これらの理念とステージを通じて、あなたらしい子育ての道を全力でサポートしていきます。
次のステップへ
このサイトでは、これらの理念に基づいた具体的な実践方法を、4つのステージに沿って詳しくご紹介していきます。ぜひ、あなたとお子さんに合ったアプローチを見つけていただければ幸いです。