「公園でマダニ?」と驚くかもしれませんが、実は市街地の公園でもマダニが増えています。
マダニに咬まれると重い感染症にかかる可能性も。子どもやペットと公園で遊ぶ前に、知っておきたいマダニの正体と身を守る方法をわかりやすく解説します。
今日の「人に話したくなるポイント」
- 市街地の公園でもマダニが大量発見され、感染症は過去最多を記録
- マダニは普通のダニと違い、吸血すると100倍以上に膨らむ危険な虫
- 咬まれると「重症熱性血小板減少症候群(SFTS)」など命に関わる病気になる可能性がある
- 子どもやペットが草むらに入るとき、肌の露出を減らすことが最大の防御策
- もしマダニに咬まれても無理に取らず、皮膚科を受診することが大切
マダニって普通のダニと何が違うの?
「ダニ」と聞くと、布団やカーペットにいる小さな虫を思い浮かべるかもしれません。
渡辺ひかりでも、今回問題になっている「マダニ」は、家の中にいるダニとはまったく別の生き物なんです。
マダニは屋外の草むらに潜む吸血虫
マダニは体長3~8mmほどの大きさで、森や草むらに潜んで、通りかかった人や動物に飛びついて血を吸う虫です。
まるで待ち伏せをしているハンターのようですね。
吸血すると体が100倍以上に膨れ上がり、小豆粒くらいの大きさになります。
家の中にいるダニ(ハウスダスト)は0.3mmほどで目に見えませんが、マダニは肉眼でも確認できるサイズ。まったく別の種類の生き物なのです。
なぜ今、市街地でマダニが増えているの?
「マダニは山や森にいるもの」というイメージがありますよね。実際、以前は野生動物が多い山間部での被害がほとんどでした。
野生動物の生息域拡大が原因
ところが最近、シカやイノシシなどの野生動物が市街地近くまで出没するようになり、その体に付いたマダニも一緒に運ばれてくるようになったのです。
これは、まるで「引越しのトラック」に乗って、マダニが都会にやってくるようなもの。野生動物の増加や行動範囲の拡大によって、今まで安全だと思われていた市街地の公園でも、マダニに遭遇する可能性が高まっているんです。
マダニに咬まれるとどうなるの?



マダニの本当の怖さは、吸血そのものではなく、マダニが持っているウイルスや細菌が人に感染することなんです。
重症熱性血小板減少症候群(SFTS)とは
最も危険なのが「SFTS(重症熱性血小板減少症候群)」という感染症です。これは、マダニが持つウイルスによって引き起こされる病気で、次のような症状が出ます。
- 高熱(38度以上)
- 吐き気や下痢
- 血が止まりにくくなる(血小板減少)
- 重症化すると命に関わる
この病気には特効薬がなく、致死率は10~30%とも言われています。つまり、10人感染したら1~3人が亡くなるという、とても危険な病気なのです。
2013年に日本で初めて確認されて以来、感染者数は年々増加傾向にあり、2024年は過去最多を記録しました。
その他の感染症も
SFTSのほかにも、マダニが媒介する「日本紅斑熱」「ライム病」などの感染症もあります。いずれも早期発見・早期治療が重要です。
家庭への影響:子育て世帯が知っておくべきこと
公園遊びやお出かけに注意が必要
「近所の公園で遊ばせるだけなのに、そんなに気をつけなきゃいけないの?」と思うかもしれません。でも、実際に市街地の公園でマダニが見つかっているのです。
特に春から秋(3~11月)はマダニの活動が活発になる季節。
子どもは草むらに入って虫取りをしたり、ボール遊びで茂みに入ることもありますよね。
ペットも要注意
犬や猫などのペットも、散歩中にマダニに咬まれることがあります。ペットに付いたマダニが家の中に入り込むこともあるので、散歩から帰ったらペットの体をチェックする習慣をつけましょう。
また、SFTS感染したペット(特に猫)から人に感染した事例も報告されています。ペットの健康管理は家族全員の安全につながるのです。
今日からできるマダニ対策
1. 草むらに入るときの服装を工夫する
肌の露出を最小限にすることが最大の防御策です。
- 長袖・長ズボンを着用
- 首にタオルを巻く
- 帽子をかぶる
- シャツの裾はズボンに入れる
- ズボンの裾は靴下や長靴に入れる
- 明るい色の服を着る(マダニを発見しやすい)
「暑い季節にそんな格好は無理!」と思うかもしれませんが、命を守るためと考えれば、少しの我慢も必要です。最近は通気性の良い防虫ウェアもあるので、活用してみてください。
2. 虫よけスプレーを活用する
市販の虫よけスプレー(ディート、イカリジン配合)をズボンの裾や袖口、首回りにスプレーしましょう。
3. 帰宅後は全身チェック
公園や野外から帰ったら、玄関先で服をはたき、すぐにお風呂に入って全身をチェックしましょう。
子どもの体を丁寧に確認してあげてください。
4. もしマダニに咬まれたら
皮膚に黒い点のようなものが付いていたら、それがマダニかもしれません。
絶対にやってはいけないこと
- 無理に引っ張って取る(マダニの口が皮膚に残る)
- つぶす(体液からウイルスが入る可能性)
- 火を近づける
正しい対応
- そのままにして、すぐに皮膚科を受診する
- 医師に適切に除去してもらう
- 数週間は体調の変化に注意し、発熱などがあればすぐに医療機関へ
自治体や学校での対策も進んでいます
各地の自治体では、公園の草刈りを定期的に行ったり、注意喚起の看板を設置したりする対策が進んでいます。学校でも、校外学習や遠足の前にマダニ対策の指導を行うところが増えています。
でも、最も大切なのは家庭での日常的な予防意識です。「知識は盾になる」という言葉通り、正しい知識を持つことで、家族の健康を守ることができるのです。
今日のポイント整理
- マダニは市街地の公園でも見つかるようになり、感染症リスクが高まっている
- マダニ媒介感染症(SFTS)は致死率10~30%と非常に危険
- 草むらに入るときは長袖・長ズボンで肌の露出を減らす
- 帰宅後は全身チェックを習慣にする
- マダニに咬まれたら無理に取らず、すぐに皮膚科を受診
- ペットの散歩後のチェックも忘れずに
